エルク研究員の解説してみた。

現役大学生兼新米猟師。「人間は森での狩猟採集で進化したんだから、日常生活に狩猟採集民のライフスタイルを取り入れて行くと科学的にいいっぽいよ」ってブログです。要は狩猟採集民族的ライフハックみたいな感じっす。

「進化倫理学」解説してみた。

小学校で道徳の教科化が決まったり、世間では産地偽装問題やらが話題になっております。

漫画では「ここは今から倫理です。」なんかが話題ですな。

ですが「なんで嘘や暴力はダメなの?」と聞かれるとなかなか難しいところ。

 

道徳やら倫理やらは

「人間が社会生活送るなかでよりよく生きるには?」……とか「より良い関係を築くには?」みたいなお話です。

 

道徳やら倫理やらは文系よりの学問なのでどうしても曖昧さが抜けない部分も。(そこが良いのかもしれませんが……)

そこで倫理や道徳を生物学、進化学的に考えてみましょうというのが今回のお話。

「進化倫理学」に関する本をまとめてみて、「何故嘘をついたら駄目なのか」、「何故暴力を振るうのは駄目なのか」を科学します。(今回の話はあくまでも進化倫理学的に見れば……とお考えください🙋)

 

 

 

それでは解説していきます。

 

 

 

 

1.「進化倫理学

そもそも、進化的に見ると生物とはなんぞや?ってかんがえてみましょ。

突然変異により、生存に有利な形質を持った個体が子孫にその形質を伝えることで生物は進化していきます。

となると、現存している生物とは「生存、繁殖に有利な形質をちりばめた集合体」と言えるかと。

生存、繁殖が目的になりますので、「自分は生き残る、自分は子孫を残す……」ってのが基本的な性質です。

「自己犠牲」は一見美しく見えますが生存できません。

つまり、進化的に見ると、「よりよく生きる、より良い関係を築く」とは「利害損得を考えること」になります。

これが進化倫理学の立ち位置で考え方です。

 

 

2.ならなんで利他的行動をとるの?その1

生物は利己的な行動をとるものとするとなんで生物は「他人のため」の行動をとるのでしょう?

血縁者や家族の場合と、その他の他人の場合について考えてみましょー。

 

血縁者や家族の場合、多かれ少なかれ自分と同じ遺伝子をもっています。

生物は生存と繁殖によって遺伝子を次世代に繋ぐことを目的としていますので、自分と近い遺伝子を持つ個体の生存は自分自身の生存の次くらいに重要です。

親が多大な時間、コストを使って子供(半分は自分の遺伝子)を育てるのもそんなかんじです。

夫婦がお互いに支え合うのもそれによって子供の生存が有利になったり、繁殖の相手の確保にもなります。

愛情というものを進化で考えると、「自分の利益やその確保のための内面装置」となります。

「愛情による利他行動」は結果的に自分の遺伝子を次世代に繋ぐために有利なものです。

 

3.ならなんで利他的行動をとるの?その2

でも「血縁者、家族はなんとなく予想ついてたけどなんで職場の同僚やらクラスメートと助けあわなあかんの?」ってなりますわな。

そこで出てくるのが「互恵的利他行動」てなもんであります。

チスイコウモリというコウモリで見られた社会行動が代表的です。

たくさん血が吸えたコウモリAが巣に帰ってからあまり血が吸えなかったコウモリBに血を分けてあげる。そうすると血をあげた個体Aが血があまり吸えなかった日にBがたくさん吸えてたら、BがAに血を分けてあげる。

というものが観察されております。

まあ動物も助け合うというものですな。

因みに血を全然分けてあげない個体は自分が困ったときには誰にも助けてもらえないんだとか。人間も然り……でしょうか?笑

 

人間に置き換えて考えると、

職場の同僚を助けてあげるといつか自分が忙しいときに助けてもらえる。

慈善やボランティアに参加すると自分の評判があがって有利になる。

てな感じです。人間は社会的な動物なので社会的評価は極めて重要であります。

 

この互恵的利他行動、社会的評価の確保が利他行動をとる理由であります。

https://www.conoha.jp/wing

 

 

3.なんで嘘や暴力はダメなの?

産地偽装やら虚偽報告はばれた際の社会的評価が下がります。

暴力は報復の恐れを考慮すると自身の利益の確保を喪失する恐れがあるため危険です。

 

嘘、暴力、盗みなどは「目先の利益にはなり得るが、長期的には社会的評価や利益の確保にマイナスになるので生存、繁殖には結果的に不利」です。

 

人権侵害、不平等政策なども同様で、怒りを買い、長期的に不利です。

余談ですが、世界史的に見ると平等な社会を一度なし得た国家は基本的にその社会構造を維持していることがおおいです。

https://www.conoha.jp/wing

 

 

4.道徳、倫理とは?

これまで述べてきた通り人間の社会的な行動は「生存、繁殖によって自分の遺伝子を次世代に繋ぐ」ためのものです。

そのために良しとされる行為、或いは駄目な行為が規定されてきたものが「道徳、倫理」です。

つまり、「道徳、倫理とは?」の答えとは「進化的に見た利益の確保のセオリー」になる……ということです。

 

 

5.個人的見解

小学校で道徳が採点されるとかなんとかゆーとりますが、生物学的に見れば「利益の確保」です。「道徳=大人の意見の押し付け、綺麗ごと」にならんためにも進化倫理学もしっかり道徳の一環として扱って欲しいなあと。

生物学はバイオテクノロジーやら環境問題だけじゃなくて「生物とはなんぞや?、生きるとはなんぞや?」って側面もあります。

こちらも道徳、倫理の本質ではないでしょうか?

 

もーちょい生物学的な要素の導入を考えてくれると嬉しいところ。

最後までありがとうございました。