「ゾウの時間 ネズミの時間」解説してみた。
こんにちは。現役大学生兼猟師のエルクです。
今日は「ゾウの時間 ネズミの時間 」
動物の個体サイズと彼らの時間(寿命、移動スピード)の関係のお話です。
内容は入門書レベルですが、面白い話がずらり。
サイズと時間の基本、小さい動物、大きい動物、スピードの話の4つに分けて解説していきます。
サイズと時間 基本編
哺乳類では時間は体重の1/4乗に比例する。
この時間とは寿命だけでなく、大人になるまでの時間、胎内にいる時間心臓が打つ間隔、息をする時間間隔、血が体を一周する時間まで幅広い。
確かにゾウの寿命は長いし、ネズミは短い……
しかし面白いのは心拍数。
ゾウはネズミより長生き。しかし生まれて死ぬまでの合計心拍数はなんとほぼ同じ約20億回。(心臓の拍動はネズミは速く、ゾウは遅い。人間は真ん中ぐらい)
となると、拍動を時計とするならゾウもネズミも一生の感覚は同じではなかろうか…………
小さい動物
小さい動物は確かに寿命は短い。しかし言い換えれば世代交代は早い。故に突然変異が起こるスピードが速く、新しいものへと進化する可能性が高いし、環境にも適応しやすい。(もちろん、ひとつの個体が生き残るのは難しいけど。)
デメリットとしては体積の割には体表の面積が大きくなりがちなので体温は保ちにくい。さらにそんなにエネルギーをためられないので、飢餓になると大変\(゜ロ\)
また超小さいバクテリアはほとんど動かないものも多い。
これは分子の拡散(分子は常に動いている。)のスピードの方が自分が動くスピードより速いので、口を開けて栄養が来るのを待つだけの方が効率が良いからなのだとか。
つづいて大きい動物
体積の割に体表の面積が小さいので体温は保ちやすいし、たくさんエネルギーをためられる。
しかしいかんせん世代交代のスピードが遅い……。つまり突然変異が起こる可能性が低く、新たな種になる可能性がひくい。
ちなみに作者は「進化の袋小路に迷いこんだ。」と表現しています。
面白いのが大きい動物の方が社会性が高い……ということ。なんとなく予想がつくことではありますが理由が面白いのです。
というのも大きい動物はたくさん餌が必要なので行動圏が広くなる。なのでよく自分の仲間と顔を合わせるが、一回の喧嘩で使うエネルギーが大きくなりがちなので、仲良くして無駄遣いをやめようとしているのではなかろうか……と考えられているそう。。
動物の「世界観」について考えられる本です。ネズミからゾウまで、それぞれに与えられた同じ20億回の拍動を全うするために必死なんだなあ……と考えるとなかなか面白いです。
「時間」に関する本のなかでは一番面白かったな。
おすすめです。
是非是非。
因みに体積と体表の面積の関係は「ベルクマンの法則」をご参考ください。
できたらいつか僕も解説します。
絵とき ゾウの時間とネズミの時間 (たくさんのふしぎ傑作集)
- 作者: 本川達雄
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 1994/04/15
- メディア: 単行本
- 購入: 5人 クリック: 30回
- この商品を含むブログ (20件) を見る