「母なる自然があなたを殺そうとしている」解説してみた。
こんにちは。現役大学生兼猟師のエルクです。
今回はカナダのコウモリの専門家、ダン リスキンさんの「母なる自然があなたを殺そうとしている」
自然のダークサイドな一面にスポットを当てることで「人間は自然の中でいかに振る舞うべきか。」について模索している書籍。
自然の超利己的で醜い具体例を七つの大罪に分類して紹介されています。
面白かったプロローグ、1、2、5章解説していきます。
ちなみに紹介しずらい例が多かったので、割とソフトな例を厳選しています。笑
プロローグ「自然をどのように見るか」
「自然由来の~」とか「自然な生き方」みたい表現が巷に溢れています。
商品の販売とか著名人の生活とか。
しかしこれらは「自然」のいい面だけをみているような……
美しい森や海、綺麗な蝶々も自然。
ヒル、ダニ、毒蛇、さそりも自然。
人間に寄生するサナダムシももちろん自然。
自然のダークサイドの一面にスポットを当てることで「自然をどのように見るか」によりよい答えがでるかも。
1,貪欲(超利己的なふるまいが正しい)
「自然はバランスを保つ、利他的なものだ!」というクリーンなイメージとは裏腹に遺伝子を次世代に繋ぐためにとんでもなく利己的な行動をとるそうな。
南極の皇帝ペンギンの牡たちは卵を暖めながら極寒の冬を耐え忍ぶためにもお互いに押し合いながら集まる。
もちろん集団の中心は暖かいが、縁は寒い……。
メディアなどでは「チームワークで寒さを凌いでいる!」と表現されるとりますが、最新の調査ではどの個体もが中心に中心に動くことによって自分だけは助かろうとすることが分かった模様。
「自分だけは暖かいところに行きたい!!(仲間を蹴落としてでも。)」
てな感じだったそうです。笑
利己的に振る舞うことによって、結果的に群れとして寒さに抗えているだけってことでした。
2,情欲「全ては交尾のために」
ある種のネズミは繁殖期の二週間の間、他のすべてを犠牲にするとのこと。
なんと一回の交尾が6-12時間も続くのだそうです。
このためにストレスホルモンのコレゾチールが異常な数値に達するみたいでして、
コレゾチールの異常分泌のため、牡は腎臓障害、潰瘍、免疫システムの崩壊、その他もろもろによって交尾シーズンが終わると死に向かうというなかなかの代償であります。
我が身を滅ぼそうとも情欲に身を委ねるのも自然の一部。
5,嫉妬(盗みとる。)
ハーレム(一夫多妻)は自然では普通にある。
弱い牡はつらいものです。
ならどうするか?
なんとこそ泥になるそう。
アメリカのあるヒキガエルの弱い牡は強い牡に黙ってついていきます。
あるメスが牡に近づいて行った時に忽然と現れ、メスを横取りするために……。
自力でメスを手に入れられない牡の唯一のDNAを渡す解決策は「こそ泥」になることのみです。
あまりここでは紹介したくないような、気分の悪くなる生物のふるまいが多く紹介されている中、何とか紹介できそうだった3つの動物たち。笑
正直読んでて気持ちよくなる本ではないですが笑、
自然と関わるうえでよい面ばかり見ようとする自分への戒めにもなりますが、人間の主観では醜くも見えるけど、生きるため、繁殖のための生物たちの息遣いも聞こえてくる素敵な本です。
まとめた最後のエピローグでのメッセージから抜粋
帝王切開が必要な女性に「自然な」出産を求めることや
同性カップルを「不自然」とみなすこと。
このような「自然」の押し付けは間違っている。
「自然」に従おうとしたところでそれは自然の一部に過ぎない。
人間が人間たりえるのは
「遺伝子が命じる行き過ぎた利己的行動(環境破壊、強制的な交尾、殺人)」
の衝動に抗えるから。
自然は社会的正義を議論する場所ではない。我々は個人として世界の諸問題に立ち向かい、行動すべきだ。
最後に彼の一言
「今こそ、立て、生体ロボットよ!」
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