エルク研究員の解説してみた。

現役大学生兼新米猟師。「人間は森での狩猟採集で進化したんだから、日常生活に狩猟採集民のライフスタイルを取り入れて行くと科学的にいいっぽいよ」ってブログです。要は狩猟採集民族的ライフハックみたいな感じっす。

「捕獲したシカの行き先」解説してみた。「日本シカ問題シリーズ5」

こんにちは。現役大学生兼新米猟師のエルクです。

 これまでは「シカが増えててやばいよ!原因はいろいろあって、政府の対応策はこんなかんじやで!」って解説してきました。

日本のシカ問題解説してみた。 - エルク研究員の解説してみた。

シカが増えている原因解説してみた。「日本のシカ問題その2」 - エルク研究員の解説してみた。

シカの狩猟情報解説してみた。「日本のシカ問題その3」 - エルク研究員の解説してみた。

日本の野生動物対策解説してみた。「日本のシカ問題その4」 - エルク研究員の解説してみた。

 

 

 

 今回は狩猟や駆除で捕まえたシカってどーなってるの?って疑問に答えていきます。

 

1.割合

すてられている個体が圧倒的に多いです。

食肉加工されている個体はわずか(5万頭利用/62万頭捕獲)

農水省がデータを先日発表しております。

こちらご参考に……↓

https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000031693361&fileKind=2

 

 

2.何で捨てるの?

まず、銃の着弾箇所が悪いと血管が破裂するため、肉としてなかなか利用しずらいところです。

また畜産と比べると肉質が低い個体もあり、そういったものは利活用が難しいのが現状。

これも農水省を参考に↓

https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files/data?sinfid=000031693362&ext=pdf

 

 

3.焼却、埋却費用

法律としては山にそのまま捨てるのは認められていないのでもって帰ってきて捨てねばなりません。

焼却して埋めるのですがなかなかお金がかかります。

これが問題です

これも農水省のpdfですが、このままだと焼却、埋却費用が嵩んで地方経済的に苦しいというのもジビエ振興を推進してる理由の一つです。

https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files/data?sinfid=000031693362&ext=pdf

 

 

4.食肉利用

食肉利用がいわゆるジビエというやつです。

大まかにハンターの自宅消費用と販売用の2つに分けられます。

鹿やらを販売するには色々と制約があります。

まず、行政の認可を受けた食肉処理施設での処理が必要です。(家の庭とかでさばいたやつはダメ。)

また、捕獲➡️とどめ、血抜きをした後にすぐさま処理施設に運ばねばならず、地域によって異なりますが、1-2時間程度です。

食肉処理施設が近くにあればいいですが、まだまだ日本には少ない……というのがジビエ普及の障壁のひとつです。

 

 

5.ペットフード

ペットフードでの利用が最近は多いです。

というのも上記のようにジビエの利活用にはなかなか障壁が高いものの、ペットフードではまだ規制があまりないから。

また、多少硬い肉でも犬たちは食べてくれる……というのも要因です。

とは言うものの、シカ肉の栄養価はかなり高いのでワンちゃんたちにもいいかも……??

 

 

6.個人的見解

地域で捕獲した個体は地域の給食で使う……そして中でも特に品質が高いものは少量でもよいのでフレンチ等として高く売る

また、食肉に適しない個体の肉はペットフードとしての加工や動物園の肉食動物に販路を見いだす。

 

というのが個人的には押している案です。

殺すだけ殺しておいて捨てるのはもったいないし埋めるのにお金かかるけど、畜産に比べて供給量が安定しにくいためスーパー等で安定的に供給は難しい。

また、ジビエに悪い先入観抱いている成人が多いため、まだまだ安定して売り上げにくい……

という懸念がありますが、給食での利用なら地域レベルでたくさん捕獲したときに一気に消費が可能。

また、若い内からジビエに触れる機会を作ることで悪い先入観を取り除け、大人になってからの定期的な消費(フレンチやジビエ専門店、ふるさと納税、お歳暮なんかも)にもつながる可能性が。

全体として長期的なジビエ普及ができます。

こちらをご参考に↓

「給食ジビエ」が始まったらしい。 - エルク研究員の解説してみた。

 

また、どうしても食肉利用できないものはペットフード……だけでなく動物園での利用も可能性ありありです。

動物園の肉食獣たちは本来サバンナやらジャングルで野山を駆け巡り、狩りをしてますが檻の中で閉じ込められているのでかなりストレスがかかっている模様。

せっかくなので捕獲して血抜きだけした個体を檻に入れて、少し狩猟本能を呼び起こしてもらおう。。。。って感じです。

そのような取り組みを推進しているNPOもあったり。

まだ試験段階なので今後に期待です。

 

 

 

 

いかがでしょうか。

問題はやまずみですが、とりあいずこのまま狩りまくるってのでは現状は改善されません。(前回のを参照)

長期的に安定してジビエが消費できるマーケットと供給システムの構築が必要ですがなかなかすぐには難しいところ。

 

都市に住む方々には縁遠く感じられるかもしれませんが、まあとりあいずジビエ食べに行ってみる。。。ぐらいでもいいので少し興味を持っていただけたら幸いです。

次回以降はジビエ利用の展望とシカ肉の栄養価など解説していくつもりです。

 

今回もありがとうございました!