「動的平衡」解説してみた
2009年に出版された動的平衡に近年話題のES細胞、IPS細胞に関する福岡先生の知見を取り入れた名作。
「生命とは何か」というテーマで語られる生命論。
「生命活動とは?」
我々(生物)は食べたもの(生物)のたんぱく質でできている。
たんぱく質は20種のアミノ酸が連結した高分子化合物であり、この組み合わせと構造こそが「情報」である。
消化によってこのたんぱく質を分解(=情報の断片化)を行い、違う形でたんぱく質を再構築(情報を再構築)し、肉体(新たな情報)とする。
つまりアミノ酸の並び替えこそが生命活動である。
「年を取ると一年が早く感じるのは?」
実際の時間の流れは一定。
自分の生命の回転速度(上のたんぱく質摂取➡️分解➡️再構築)の速度がついていけなくなるから
「生命とは……?」
ユダヤ人研究者のシェーンハイマーは1940年頃にマウスを使ってある画期的な実験を行った。
マウスに餌を与え、その餌がマウスの体内でどう動くか……という実験だ。
予想ではその餌からエネルギーが取られ、糞になって出ていくと思われたが……
しかし結果は。
なんと与えた餌がマウスの肉体となり、もともとマウスの肉体だった部分が分解され、糞として排出されたのだった。
外の世界と全く分離されているような印象を持たれる我々生物。
しかしその正体は「たんぱく質を取り込んで、古いたんぱく質をすてる」というある種の「流れ」なのだ。
僕が「代謝」に興味をもったきっかけの本です。
構築し、分解する。
その流れが生命ってめちゃくちゃ面白い。
「経済は生きている」とか「街は生きている」とか山や川とかの自然を生きているように感じるのはそれぞれ絶えず構築し、分解しているからなのかもしれませんね…………
生命観の変わる本です。
是非是非。
- 作者: 福岡伸一
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2017/05/31
- メディア: 単行本
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