エルク研究員の解説してみた。

現役大学生兼新米猟師。「人間は森での狩猟採集で進化したんだから、日常生活に狩猟採集民のライフスタイルを取り入れて行くと科学的にいいっぽいよ」ってブログです。要は狩猟採集民族的ライフハックみたいな感じっす。

狩猟ネタ「野外解体も十分衛生的みたい」

こんにちわ。現役大学生兼新米猟師のエルクです。

 

今回は狩猟ネタです➰

 

日本では捕獲した鹿やらイノシシやらは解体施設での食肉加工処理が推奨されておりますが、

ジビエ先進国のヨーロッパでは捕獲地点での野外での内臓摘出、解体がメイン。

 

 

「実際野外での内臓摘出て衛生的にいいのか悪いのかどっちなんだい!?」

てのを実験してくれた論文を見つけまして、

結果がめちゃくちゃ面白かったので是非ご紹介しよかなーってかんじです。

ニッチなネタですが猟師の方やジビエファンが歓喜するお話です。 

 

そんでは➰


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 参考文献「野外で内臓摘出したエゾシカ枝肉の衛生状況」

 

1.背景

捕獲した動物は通常止め刺しをして血抜き、その後に内臓を取り出します(内臓摘出)。

この内臓摘出が極めて重要でしてこれを素早く行うことによって肉質が高く保たれ、衛生的にもなる、、ってなイメージです。

しかし政府は、ジビエとして販売する肉はこの摘出を野外ではなく解体処理施設で行うように勧めているため、

捕獲個体を山から降ろして施設まで運ぶとなると結構時間がかかるので肉質の観点からするとその場で摘出したい、、、ってのがハンターの本音。

 

 

2.実験

実験では処理施設で摘出した個体と野外で摘出した個体の

①へそ、②体側、③肛門

の一般菌(基本的に肉とかにいる菌)の数を計測。

 

また、他の危険な菌類が検出されないかとかを調べてくれてます。

(サルモネラ菌とかO-157とか)

 

 

 

3.結果

お楽しみな結果ですが

どちらにしても大腸菌群,大腸菌,O-157,カンピロバクター,サルモネラ,エルシニアなどの菌は肉からは発見されず

 

肉を調べた結果では野外と施設内では有意な差は見られなかったとのこと。

 

 

ただ、毛皮を調べた際には

野外摘出の個体の方がへそのあたり毛皮の大腸菌が多い可能性が在るので野外解体のときはナイフや素手注意しましょーーって感じでした。

毛皮が付いた状態でシャワーでガーーっと洗えるのはやはり処理場のつよみですなあ。

 

 

また、積雪期に捕獲した個体は

かなり毛皮の一般菌やその他の危険な菌が減ってたみたいなんで積雪期はかなり安全そうです。

 

 

3.まとめ

(もちろん丁寧に作業すれば。。。って前置きは必要ですが)

まとめると

 

①野外で摘出しても処理場でやっても

肉の衛生レベルはどちらも安全そう。

 

②ただ、野外摘出個体の毛皮のへそらへんはちょいと注意必要かも。

 

③積雪期に捕獲した個体は安全さが高そう。

 

ってな感じっす。

 

 

個人的には驚き、そしてうれしいデータでして、

このデータをベースに将来的には野外摘出、解体のガイドライン化、マニュアル化、資格化ができればもっとたくさんのジビエを高い肉質で市場に出せそうです。

今後に期待!!

 

 

 

ではでは。